なぜ、トヨタはシンテックのレールを使っているのか
トヨタ自動車ボデー生技関係部署(ボデー/ユニットw / 防錆)において、
シンテックの部品を使用する
という取り決めがされたためです。
※ワーク搬送やP/G吊りのために使われる簡易組立レールユニットにおいて
ではなぜ、シンテックの部品を使用するのか?
レール本体の落下事故が無いため。
レールシステムのご紹介
軽量レール(ライトクレーン)は通常、上図の部品にて構成されています。
トヨタ自動車ではこのようなシステムを約5000箇所使っています。
短いタクトや激しい衝撃及び経年劣化により「ハンガー」と「クレーンアイ」が特に損傷を受けることが多く、摩耗や破損によりレールが落下する事象が見受けられます。
1.ハンガー部分
ハンガーの吊り部分及び下部のスイベル部分が摩耗により抜け落ちることが多発しています。
2.クレーンアイ部分
では、どうするのか・・・
「各社に安全対策と見直しを要請しよう!」
各社、トヨタ自動車の要請に対応できず
「シンテックとの共同開発をして、
安全な部品を使おう!」
トヨタ自動車ボデー生技関係部署(ボデー/ユニットw / 防錆)において、ワーク搬送やP/G吊りのために使われる簡易組立レールユニットにおいてはシンテックの部品を使用する、という取り決めがされています。
対策
トヨタ自動車(株)様と共同開発で、新たにハンガーとクレーンアイ(エンドトラック)
を開発しました。(下図写真)
ハンガー: THG-220S
ハンガー: THG-130S
クレーンアイ: TRE6511
従来品との比較
◆ハンガー
上図左側を「スイベル方式」と呼び、右側を「やじろべぇ方式」と呼びます。スイベル方式はすり減ると落下してしまいますが、やじろべぇ方式はすり減っても落下しにくい構造にしました。
ライトクレーンは衝撃を吸収するために左図のように首振りをする構造になっています。
スイベル方式はこの首振り角度が片側で6~7°しかないのでこれ以上の衝撃がかかった際には部品の損傷につながっていますが、やじろべぇ方式は首振り角度が片側で20°ありますので衝撃の吸収性にも優れており、部品の損傷は少なくなっています。
◆クレーンアイ
従来品はボール形状だったのに対し、ヒンジ式を採用し、
さらにベアリングを内蔵。
これにより動作がスムーズかつ摩耗部分が少なくなりました。
また、従来品は首振りが一方向だったのに対し、二方向にした結果、衝撃を吸収しやすくなり、各部品にかかる負荷を減らすことに成功しました。
従来品はボールジョイントの摩耗について、分解点検しないと確認出来ませんでしたが、外側に摩耗限界線(5mm)を設けて、外側から摩耗が確認できるようになりました。
厳しい条件下で各製品の耐久試験を行っています。
また公的機関による強度試験も行っており、安心して使っていただけます。
2010-2011年トヨタ各工場にてシンテック製の部品への取替え工事が行われ、それ以降、落下は起きていません。